時代に寄り添う お寺の在り方 前編

こんにちは。芳全寺徒弟の荒木玲音(あらきれおん)です。
お坊さんが聞いてみるインタビュー「echo」
今回の対談は横浜市港南区にある天神山貞昌院住職である亀野哲也師です。宗門の発展に大きく貢献され続け、またご自坊での様々な活動を通して檀信徒の布教教化に邁進されている方です。
お寺を永続させていくための取り組みや僧侶として大切な心構えを聞いていきます。
お寺を経営するとは
荒木玲音(以下、玲音)
本日はよろしくお願い致します。貞昌院様はホームページが充実していますよね。特に印象的なのが、情報公開の透明性です。「こんなことまで公開しているのか」と正直ビックリしました。
亀野哲也師(以下、亀野住職)
護持会の決算報告も載せていますからね。お寺の運営に透明性を持たせることは当然だと思っています。「経営」という言葉は仏教の言葉であることは知っていますか?
玲音
はい、聞いたことがあります。
亀野住職
お経を営むと書いて経営ですよね。お金のことは本来タブーではありません。お寺を運営するためにとても大切なことであり、お金の流れをキチンとしておくことは次の世代に引き継ぐために今私たちがやらねばならないことだと考えています。
玲音
どうやったら永続させられるのか、という視点を大切に運営していかなければならないということですね。そのために檀信徒の方々に情報をオープンにしていると。活動を拝見すると宗教法人としてのCSR※も重要視されているように感じます。情報公開だけでなく、檀信徒の方々、環境保護のための諸活動、大変参考になります。
亀野住職
ありがとうございます。モノレールは乗られましたか?高台側の墓地は勾配が急でしたので、墓地を整備する際にモノレールを導入する構想をしていました。「安心してお墓参りができます」という声を頂けています。一つモノレールは例ですが、相手のことを思って考えて行動すること、その積み重ねが大切ではないでしょうか。
玲音
帰りにぜひ乗らせてください。墓地の利用案内も規則も公開し、明確にされていますよね。私はまだ整理ができていないので課題に感じています。またお墓の話が出たので質問なのですが、檀信徒の方々も将来世代交代されていく中で、墓じまいの話を聞いたりします。この時代の流れをどのようにお考えでしょうか?
柔軟に変化すること
亀野住職
まず求められることが変わってきたのだと感じます。家の墓が負担に感じる方がいるから墓じまいの話が出るわけで、そのような方によくお話を聞くとお墓に対するニーズが変わってきたと感じます。ある人は夫婦だけで入りたい、ある人は永代供養がいい、ある人は納骨墓がいい・・・というようにです。そもそも今のように「〇〇家の墓」と書かれた墓ができたのは明治以降に建立されたものがほとんどだと思いますので、せいぜい百数十年の歴史ですよね。その時、その時のニーズに合わせて作っていけばいいのではないかと考えています。あくまでも長期的な目線でお寺を永続させるために必要なことだと私は考えています。今はその過渡期であると感じています。
玲音
全ては永続させるためのお考えということですね、大変勉強になります、ありがとうございます。次回につづく・・・
つづきは次号の寺報にて お待ち下さいね
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